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2006年1月16日 (月)

フリンジ・ミュージック 俺の中で鳴り止まないモノ12 70歳の電子音楽家ラルフ・ルンドステン(Ralph Lundsten)

Lundsten01_1 スウェーデンの電子音楽家ラルフ・ルンドステンは、1936年生まれですから、今年で70歳になります。彼ははじめは画家や舞台美術家としての活動で数々の賞を取ったこともありますが、1950年代半ばから自ら建設したAndoromed Studioで、電子音楽の作曲と研究に取り組み、今までに600曲以上の作曲をし、アルバムは70枚以上発表している、北欧電子音楽のパイオニアとも言うべき存在です。オリジナル・アルバム以外にも舞台美術の人脈を生かしてバレエ音楽、舞台音楽、サントラ、そしてスウェーデンの国営短波放送ラジオ・スウェーデンのテーマソングまでも手がけています。いわば「スウェーデンの富田勲」と呼んでも良いような人物です。

さて、彼の代表作といえば、まず第一に70年代初期に発表されたNordisk Natursymfoniシリーズ(ジャケ写はその一部です)があげられます。この作品は、№1から№7まであり、LP7枚、現在はCD4枚組で再発されています。これらの一連の作品ではハーディー・ガーディーやフルート、ヴァイオリンなどといった通常の楽器音に電子音と自然音がコラージュされて、北欧の澄み切った空気のような静謐なサウンドを作り出すことに成功しています。この時期の彼は非常に多作で、暗くドロドロした恐怖映画のサントラのようなものや、ディスコ風のものや、民族音楽を取り入れたものなど、バラエティに富んだ傑作アルバムを次々と発表していました。ジャケットを飾る絵の美しさも魅力の1つです。また、第二にとりあげるべき代表作としては、60年代に作曲した初期の電子音楽を中心に編集されたコンピレーションCD4枚組があります。(Elektronisk Musik från 60- och 70- talen)

このアルバムに収録されている60年代の曲は、現在の水準からみればプリミティヴでチープな機器によって作られたものばかりですが、何か妙な温かみを感じますし、まるでインベーダーゲームのビープ音のような古めかしい音色の多用が、かえって斬新さすら感じます。この作品のほうがまだ入手しやすいかもしれません。

Ralphlundsten000_1 残念ながら80年代以降の曲はニューエイジ・ミュージック風になっていて、あまり私の興味を引くものではありませんが、90年代以降になってからは昔の作風に戻っているような傾向もあります。自ら設計したスタジオの中でシンセサイザーをはじめとする多くの電子楽器に囲まれ、さまざまな電子楽器の設計・改造にも携わりながら、早い時期からコンピュータ・ミュージックにも挑戦して来た彼は、心行くまで作品を制作できるといううらやましい環境にあります。そして彼は、年とともに衰えるどころか、ますます円熟味と同時に若さ・斬新さすら感じさせる活動ぶりを示しています。近年ではホームページを立ち上げて、楽曲のダウンロードやCDの販売も手がけていますが、残念なことにスウェーデン語で書かれた部分が多いので、もう少し英語で書かれたホームページの部分も充実させてほしいものです。そうすれば彼の広範な活動の一端なりとも、より多くの人々に知ってもらうことができるのですが・・・

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