2008年6月20日 (金)

Die Inを見た

Diein
清澄白河は江東区、深川に近い倉庫街。その一角の倉庫の6階が、アルタナティブ・スペースMagic Roomだ。もっとも7月には恵比寿に移転するのだそうだが。
古びた倉庫の使用されていないスペースにMagic Roomはあった。会場は真っ暗で、暗闇の中ノイズが響く。壜に入ったオブジェ(何かの手紙?)が、モニタから断続的に放たれるホワイトノイズによって照らされる。観客は私一人。モニタ前の椅子に座り、映像と轟音に身をゆだねる。映像はまず東谷隆司氏ともう一人の対談。難解な美術用語を用いながら作品の意図を語っているのだが、初耳の人には泥酔者の会話のようにも思える。でもどこかの箇所で昨年亡くなった山口小夜子氏を追悼するような部分があったような…それにしても英語の字幕は誰が苦労して作ったのだろうか?そしてスーパーデラックスでも上映された映画「Die In」の上映。何度見ても不条理である。そして「Die In 2008」。映像と音楽がカットアップやコラージュされた作品は見ていて戦慄すら覚えた。このパートだけでも見る価値はあったと思う。
6月28日まで開催中。

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2007年10月 8日 (月)

アートフェスタロー

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米軍基地の町、相模原。米軍補給廠の西門前にある商店街、西門広場商店街は駅から徒歩15分。戦後の特需景気やベトナム戦争の時期は非常に活気付いていたのですが、最近はシャッターが閉じられた店も目立つ、典型的な地方都市の商店街です。最近は東京や横浜のベッドタウンとして新規の居住者も増加しているものの、車社会の現状では客は国道16号線ですぐに出られる八王子や横浜、町田に奪われて、日曜の昼間は閑古鳥が鳴いています。そんな商店街になぜか岡本太郎のオブジェがあります。かっての栄華の名残でしょうか。岡本太郎のオブジェも年月を経て痛みがはげしくなってきました。そこで岡本太郎オブジェの修復基金集めと地域の活性化を目的としたイベントとして昨年から行われているフェスティバルが、今年で第2回となるアートフェスタローです。これに行ってきました。おめあては舞踏家でガラス工芸家の朝吹真秀氏が作品を展示販売する様子を見に行くためです。朝吹氏の作品は多種多様なガラスを高熱で溶かして、さまざまな色の模様を形作る蜻蛉玉といわれるものです。作品はデパートや専門店で販売されていて、値段は小さなものでは5000円程度、大きなものでは50000円以上します。蜻蛉玉の色彩の鮮やかなこと。そして同じ色彩は一つとしてないのです。全てが手作りで、一回の失敗も許されないのは、即興舞踏にもつながるのではと思います。会場では路上での演劇、演奏、ダンス、アクションペインティング、書道、金属工芸、キルト、さまざまなアートがのどかな雰囲気の中で展開していました。宣伝があまり行われなかったために客は少なかったのですが、地域に密着した貴重なイベントだと思いました。さて、会場の西門広場商店街ですが、沖縄の牧志公設市場のような無国籍の雰囲気でした。昭和の臭い、アメリカとアジアをミックスしたようないくぶん植民地的な雰囲気、スローな時間、そんなエキゾチックな商店街なのですが、やはり地方都市の衰退の波を被っているようで、面白い店もあるのですが、客足は遠のいているのが残念です。
アートを一通り見た後は、朝吹氏からご自身の舞踏のビデオ(未発売)を頂いて、家路につきました。

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2006年12月28日 (木)

フリンジ・カルチャー 山口小夜子‘あ・お・い’を見て

冬の嵐の中、浅草橋にあるスタジオ・パラボリカ・ビスで行われた「夜想耽美展」スペシャル・イベント山口小夜子‘あ・お・い’に行ってきました。浅草橋も以前の問屋街のイメージから、カフェやギャラリーが随所に目だつ、おとなの隠れ家のような町に変貌しつつあるようです。会場前から多くの観客が訪れていましたが、展覧会の性質上、ゴシック風のファッションで決めた若い女性が多かったようです。招待客の中には天児牛大氏や灰野敬二氏の姿もありました。
会場は古い紙問屋の倉庫を改造した場所で二階が画廊と喫茶、一階が事務所と小さなシアター・スペースになっていました。倉庫であった関係上、窓というものが無いに等しいのですが、それは後で述べるようなパフォーマンスの演出上に好都合なものでした。入場前まで二階の画廊で展覧されている作品を見ました。三島由紀夫の疑似切腹写真がまず目に付きました。これは三島由紀夫の友人で、日本ではじめてのゲイ写真家・矢頭保(1973年没)が撮影したもので、矢頭保は、これ以外にも三島をモデルとした数々のゲイ写真があるらしく、三島を語る上での一種のタブーとされているようでした。有名な細江英光の『薔薇刑』とはまた違った三島を写し出していました。その写真の中で、三島はまじめに切腹に伴う苦痛とないまぜになった一種の法悦を楽しんでいるように見えました。このあたりは細江と矢頭の作家性の違いなのでしょうか。単に性的な趣味の違いだけにとどまらないものがあるように思えました。さて、矢頭保は日本よりも海外での評価が高いようですが、『体道・日本のボディビルダーたち』『日本の祭り』『OTOKO』といった写真集は全て絶版で、高価で取引されています。
展覧会は「耽美」というキーワードのもとに、死やエロスや同性愛や人形愛やゴシックといったイメージをひとくくりにまとめていこうとしているのですが、すでに雑誌に掲載された作品の実物を展示・販売することに重きが置かれているように思えました。新作や未発表作品がもっとあればと思いました。できれば矢頭保オンリーの回顧展など開いてくれればと、私は思っています。また、「耽美」という言葉そのものも何度も何度も繰り返して使われているためか、初老に足を踏み入れた人間にとっては、食傷気味に思えました。決定的なところで言えば、どんなに死のイメージを追いかけても、そこには、死者や病者の持つ死臭なり腐敗臭がないのが、単なる無機質な死のイメージを本物の死とは別個に陳列されているだけに見せていました。だからと言って臭いまでも再現するというのは街中ではできないことだと思いましたが。
そうそう、もう一つすばらしかったのが、少年愛チャイルド・ポルノ写真になりかねない、ヴィルヘルム・フォン・グローデン男爵の一連のフォトグラフィーです。初めて見たとき、何かナチス時代の裸体芸術写真なのかと思ってしまいましたが、時代はそれよりもさらに前だったのですね。このあたり秋田昌美氏の著書で書かれているのでしょうか。さらに言えば水声社から出るはずだったストレンジ・ヌード・アート関係の書物はどうなったのでしょうか。いずれにせよヴィルヘルム・フォン・グローデン男爵、更なる研究が待たれますね。
さて、展覧会を見ているうちに入場の時間が近づいてきました。会場は完全な密室で6,70人も入れば満員になってしまいそうな狭さです。折からの激しい雨の音が、完全に暗闇に包まれた密室に響き渡ると、観客たちは行方も知れぬ小船の船倉に閉じ込められて、どこか見知らぬ国へと連れ去られるような錯覚に陥ったのではないでしょうか。
暗闇の中に山川冬樹のホーメイが響き渡ります。シャーマニックな倍音が脳天を直撃して、チャクラが開いたような気持ちになりました。すると三島由紀夫の肉声による朗読が響き渡ります。『英霊の声』の一節でしょうか「などてすめろぎは人となりたまいしか…」呪詛のような警告のような予言のような言葉は、すでに韻を踏んでいて、あたりに高次の霊的なヴァイブレーションを伝えます。CDからの再生ではなく、山川冬樹のシャーマニックな倍音によって、冥界から響いているように思えました。そして右手から山口小夜子の登場です。黒い衣装を身に着けて、まるでサロメのような山口小夜子が、マッチを擦るたびに暗闇が引き裂かれ、蝋燭に灯りが点ります。まるでエレウシスの密儀のような導入部で、これには完全に打ちのめされました。そして本編は、『近代能楽集 葵の上』の抜粋を山口小夜子が朗読し、恋月姫の人形と共に舞い、バックにある二つのスクリーンには水滴・分解する多面体・影絵の山口小夜子・山本タカトの無惨絵などが効果的に写し出され(このあたりの映像効果は掛川康典と生西康典によるものでした)、山川冬樹のホーメイと高橋AYUOの無国籍音楽が交互に響き渡り、といった具合に、全部で1時間たらずのパフォーマンスでしたが、非常に濃密な時間と空間を作り出していたように思います。完全な密室の中で限られた観客だけが味わえた貴重な体験でした。これは演じる人々の力量によるところが大きいのですが、会場の雰囲気も効果を倍化していたように思います。再演は難しいと思いますが、もう一度見たいパフォーマンスだと思っています。
Aoi

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2006年1月24日 (火)

フリンジ・カルチャー モダーン・ペイガンとふくしま政美

Modernpagans 今回は、発売されてからかなり年月がたっているのですが、アメリカのリサーチ・パブリケーションResearch Publicationから発行されている「モダーン・ペイガンズ」ModernPagansという本を紹介します。まずリサーチですが、パンク・ロック全盛時代にサンフランシスコで「サーチ・アンド・デストロイ」というタイトルの新聞として発行され、その後不定期の雑誌形式となり、J.G.バラード特集でSFファンの注目を浴び、フリークス特集で日本のコアなファンにも知れ渡り、モダーン・プリミティヴ特集で、タトゥー、ボディピアス、身体変形ファンの注目を浴び、90年代以降のコアなカルチャーのバイブルのような存在でした。赤田編集長時代のQJに、世紀末倶楽部と青山正明の関連雑誌とバーストを足して100倍したような雑誌だったと思います。今でも入手可能ですが。さて、ここで取り上げられているモダーン・ペイガンとは、以前にも紹介したようにキリスト教以前の多神教を信じているさまざまな人たちです。ドルイド教、魔女、アイスランドの多神教、その他さまざまな神々のパンテオンと、それを信じて、アンチ・グローバリズム的なライフスタイルを送っている人々へのインタビューが多数収録されています。ジェネシス・P・オリッジのインタビューも載っていますし、ペイガン・ミュージシャンとか、ウィッカン・ミュージシャン(まあどちらも異教音楽家なのですが、デスメタルやゴシックと区別できないものもあれば、ダウナーなフォーク・サイケもあります)サイババやヤホワのところでも書きましたが、アメリカ西海岸は奥が深いですね。この雑誌、音楽と同様に、コンピュータ・ゲームの世界になぜファンタジー・ロール・プレイング・ゲームの類が多いのかも言及する記事が多く載っています。翻訳が待たれるところです。それから、随所に挿入された、異教信者のオネエサンたちの写真もそれはそれで興味深いものがあります。

Ryusui そして、まったく話題は変わりますが、1月22日に笠倉出版社(この出版社は凡天太郎先生のナイスな本を出していた会社です。再版希望)から出た劇画誌『浪漫』に、ふくしま政美先生の新作『女犯坊』が巻頭カラー44ページで載っていました。はっきり言って、復活宣言後の作品に中では一番面白いし、絵も力がこもっていて、期待できます。でも、掲載誌が、何と言うのか、あまりにも垢抜けしない旧態依然たる官能劇画誌なので、今後どうなるのか予断を許しません。ラインナップがふくしま先生以外には千代次(昔はつつみ進の名前で描いていました)に前田俊夫・・・これじゃまるで漫画エロトピア同窓会です。まあ、それにしても竜水が現代によみがえって妖怪退治をするというアイデア、昔ふくしま先生に話したことがあるんですが、覚えていたのでしょうか。描きなれたキャラクターはいいですね。復活後の作品は妙に現代風に会わせようと無理をしていましたが、今回、何かふっきれたようでたいへん良いです。女性キャラクターも、70年代の良い時のような状態になってきてるし。でも岩松が出てこないで、松吉という寺男が出てくるのですが、やはり岩松は現在の出版業界では規制の対象なのかな。まあ、単なるリメイクにならずに、過去の遺産を食い潰すことなく、元気にやっていけるものだと、私は信じています。ふくしま政美先生は不滅です。

Modern Pagans: An Investigation of Contemporary Pagan Practices (Re/Search) Book Modern Pagans: An Investigation of Contemporary Pagan Practices (Re/Search)

著者:V. Vale,John Sulak
販売元:Re-Search Pubns
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2006年1月 1日 (日)

ブログの世界に参入します

はじめまして、Father Uです。70年代から細々と評論活動を行ってきました。自分にとって黄金時代とも言える60年代、70年代のさまざまな文化的事象(音楽、舞踏、肉弾劇画など)をブログという簡素でアクセスしやすい方式で読者に皆様に紹介して、「萌え系」文化全盛の時代に少しでも反逆し、自らの存在証明を行いたいと思い、ブログの世界に参入した次第です。

以下は世紀末からの私の活動の一端です。

1997年 「マンガ地獄変」シリーズⅠ~Ⅲ(吉田豪氏・植地毅氏と共著 水声社)

1997年 「マンガゾンビ」(太田出版)

以上の書籍や各誌におけるマンガ評論で梶原一騎再評価、ふくしま政美・宮谷一彦・榊まさるなどの肉弾劇画家の再評価運動を開始

1997年 天井桟敷「阿呆船」復刻(ブルースインターアクションズ社)

1998年 「フリンジカルチャー」(水声社)

1998年 ヤホワ13ボックスセット復刻に参加(キャプテントリップレコーズ)

1998年 Los Apson主催のチャールズ・マンソン・フェアー(9月11日恵比寿Milk)に参加、B1にてDJをつとめる

1998~1999年 太田出版や美術出版社で、ふくしま政美作品復刻(「聖マッスル」「女犯坊」「ローマの星」「聖徳太子」)や宮谷一彦作品復刻(「肉弾時代」)に参加

1999年 天井桟敷呪術音楽劇「邪宗門」復刻(ブルースインターアクションズ社)

2001年 新世紀を機会に、音楽評論の分野に復帰

2002年 「J・A・シーザーの世界」(J・A・シーザー氏と共著 白夜書房) 

2002年 東京国際フォーラム5周年記念トーキョー・アート・ジャングル展のミュージックフェスティバルMoist Voice (8月13日~15日)のうち、14日に出演、DJをつとめる

2002~2005 スカイステーション、ディスクユニオンなどから発売の一連の天井桟敷・J・A・シーザー関連復刻(「さらば箱舟」「書を捨てよ町に出よう」「田園に死す」「薔薇門」「初恋地獄変」「老人探偵とガリガリ博士の犯罪」)に参加。

Book 天井桟敷 『阿呆船』

著者:宇田川 岳夫,湯浅 学
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Book 演劇実験室・天井桟敷 邪宗門

著者:井上 誠,とうじ魔 とうじ,宇田川 岳夫
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Book マンガ地獄変

著者:植地 毅,宇田川 岳夫,吉田 豪
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J・Aシーザーの世界 Book J・Aシーザーの世界

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