2007年4月24日 (火)

横浜黄金町で映画『朱霊』を見た

Shurei
4月24日、横浜黄金町の名画座「ジャック・アンド・ベティ」で舞踏家・岩名雅記監督の長編舞踏劇映画『朱霊』を見た。岩名雅記はこの中で、重要人物ヒズメの若い頃を演じているが、ほとんどは監督に徹している。もちろん出演する俳優は子役を除いて皆舞踏家で、振り付けは岩名監督が行った。終戦直後の東京を舞台に、妖しげな洋館に監禁されて死を待つだけの難病患者と、そこに迷い込んだ少年の交流が大筋となって、夢と現実がないまぜになった世界が展開する。全編モノクロで撮影されているのは、夜のシーンがほとんどであるためであるが、幻想性を倍加するためであろうことは簡単に予想できる。見終わった印象を一言では言えないが、寺山修司『田園に死す』+『草迷宮』+大野一雄『O氏の死者の書』+『風の旅団』といったところであろうか。全編を通じて流れるのは「死ととなりあわせの生」、「生ととなりあわせの死」といったところか。老人ヒズメが病気のために身動きできない女マリアにフィスティングする場面や、娼婦ネアンと傷痍軍人のベッドシーン、少年の口から語られる自らの生い立ち、首を吊って自殺した女カケラが突如唄いだす場面は岩名監督の前妻へのレクイエムなのか。数々の優れた作品へのオマージュめいた場面もあり、一見すると一般的なホラー映画仕立てになっている部分もあるが、ともすれば映画の枠組みを突き崩しそうなほどの監督の奔放なイマジネーションが画面の隅々にまで横溢していて圧倒された。野戦の月で活躍中の俳優根岸良一の熱演もすばらしかった。

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2007年3月26日 (月)

フリンジ・カルチャー 映画「クロッシング・ザ・ブリッジ」

Crossingthebridge
映画 「クロッシング・ザ・ブリッジ」を見てきました。

渋谷のシアターN、元のユーロスペースと言えばわかるかもしれませんが、そこで上映中の「クロッシング・ザ・ブリッジ」を見に行きました。渋谷駅南口の陸橋を越えて、楽器店の密集する桜坂に向かいます。昔と変わらない古びた飲食街の一角にシアターNがありました。旧ユーロスペースです。開演時間の11時の少し前に会場に到着すると、同じビルの一階がアニメイトで、オタク少女たちがたむろしていました。スクリーンが二つあって、同じ映画館の別のスクリーンでは映画「口裂け女」を上映していて、こちらには中学生の女の子たちが列を作っていました。一方の「クロッシング・ザ・ブリッジ」の客は、私を含めて4人でした。前宣伝もずいぶんやっていて、うわさによると映画上映の余勢をかって、エルキン・コライの日本盤がリリースされるということらしいのですが、この客の入りでは大丈夫かなと思ってしまいました。さて、映画の内容ですが、まずレポーターのアレキサンダー・ハッケ(アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン)が意外にお茶目で面白かったのですが、この映画ではあくなきサウンドの探求者という感じで、外国人が歩いたらとても危険そうな路地裏にまでどんどん入っていきます。ほんとに倒壊しそうな建築物ばかりの地域に入ってカメラの前でストリート・ミュージシャンや吟遊詩人(というよりも単なる物乞いに見えるのですが芸術性は高い)にマイクを向けて、どんどん録音してしまうのです。ストリートに響くシャシャベンドやヌール・ジェイランの声と旋律は心に残りました。またメルジャン・デデや大サターのセゼン・アクス、大御所とも言えるオルハン・ゲンジェベイなどにインタビューを試みたりするので、大スター出演の昔の映画の画像なども挿入されて、これもなかなか面白かったのです。メルジャン・デデは、ボディー・モディフィケーションをしていて、カナダで行われるモデュコンに出てもよさそう(予選落ちかもしれないが)なのが痛々しかったのですが、音楽は凄いですね。昨年来日したそうですが、もう一度来て欲しいですね。ジェザによるトルコ語のラップも凄いものでしたし、話しているところは好青年でした。ジェザの来日を強く希望します。さて、何箇所かでトルコのミュージシャンたちがエルキン・コライへのリスペクトを語るシーンがあったのですが、エルキン・コライの演奏場面が少なくて、ファンとしては不満が残りました。でも、悪魔のお面を後頭部につけたエルキン・コライが振り返るシーンや、名曲Yalnızlar Rıhtımı(自主的に邦題をつけて見ました「孤独のリズム」)が流れるところもあって、楽しめました。謎なのが、エルキン・コライのまねをしているファンですね。あれはラリーズや不失者のコンサートにいる長髪とサングラスに黒ずくめの衣装の観客を思い出させました。1998年に発行した拙著『フリンジ・カルチャー』でエルキン・コライについて書いてから10年、ようやく日本にもトルコ・ロックの夜明けがきたのかなと思い、少し感涙に咽びました。とういわけで、上映時間はあっという間に過ぎて、十分映像と音楽を堪能したのです。帰りがけにサントラも購入したのですが、そのあとに、新宿タワーレコードでサントラを購入すると未収録曲CDRが特典としてつくと知って、とても残念な気持ちになりました。CDR、誰か分けてください。これだけ無料で宣伝しているのですから。

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